一対多の連合を記憶する相関型連想記憶モ
デルを議論する.
連想記憶モデルHASP は相互想起型連想記憶回路
と相互抑制回路からなる1対多の連合を扱うモデルである.
我々はこれまでこの二つの回路を分離して,絶対容量に関して議論してきた.
しかしながら,想起過程に関しては連合ベクトルと回路の状態との統計的な
相関のため二つ回路を分離して議論することができない.
そこで,本論文では HASP型の最も簡単な相関型連想記憶モデルを提案し,
このモデルの想起過程を議論する.
このモデルは HASPと同様に相互想起型連想記憶回路と自己想起型連想記憶
回路から構成される.
1対多の連合を扱うために,複数の連合ベクトル間の対称性を破る外部入力
を導入する.
外部入力を導入する際に次の点を考える.
1. 外部入力は想起される連合ベクトルに近いものから,無相関な入力までの
様々なものを考慮する.
2. 外部入力は相互想起部または自己想起部のいずれに加えればよいかを議
論する.
想起過程の性質がこれらの点にどのように依存するかを
統計神経力学と計算機シミュレーショ
ンにより調べた.
その結果,外部入力によって連合ベクトルが想起できることを示し,自己想
起部に外部入力を加えた場合の方がより連合ベクトルを想起しやすいことが
わかった.