研究紹介

研究分野

電子透かしモデルの復号アルゴリズムの開発と評価

「透かし」とは、例えば、お札を光に透かしてみると見える模様のことです。電子的なコンテンツ(画像、映像、音楽などのデータ)に、秘密の情報をコッソリと埋め込む方法を電子透かし技術または、 情報ハイディング技術と言います。
なるべく元のコンテンツを壊さないように埋め込む方法を考えたり、誰かが透かしの入ったコンテンツをいじった後に、埋め込んだ透かし情報を正確に取り出す方法(復号アルゴリズム)を考えます。

写真に秘密のメッセージを入れて相手に送り、相手は秘密のメッセージを読めますが、他の人からは写真にしか見えないメールを作れます。
映画館の映像に、透かし情報が埋め込まれており、盗撮するとわかる仕組みになっています。
ダウンロードで購入した音楽等のデータには、購入者の情報が入っており、不正に配布した場合、誰がやったかがわかる仕組みがあります。

ニューラルネットワーク (脳型情報処理システム)

神経細胞の数理モデルを用いた神経回路網をニューラルネットワークと言います。これを用いて、脳の情報処理のメカニズムを理解することを目指したり、工学的な応用を行います。

連想記憶モデルの解析

脳は記憶ベースのシステムです。連想記憶を行うモデルを取り上げ、その特性を解析します。

統計力学を用いた記憶容量の評価
統計神経力学を用いた想起過程の解析
非単調ニューロンを用いたときの、カオス現象の解析
共通入力を導入し、状態遷移を持つ連想記憶モデルによるオートマトンの表現

研究課題

電子透かしモデルの復号アルゴリズム

様々な復号アルゴリズムの検討：最適化問題の解法 (離散時間同期、非同期更新、確率ダイナミクス/有限温度ダイナミクス)
画像推定を行うブラインド型電子透かしモデルの解析 : 情報統計力学（ベイズ推定、レプリカ法、平均場近似など）
電子透かしモデルのアプリ化(iPhoneなど)
電子透かしモデルの評価基準の検討

連想記憶モデルの理論評価

連想記憶モデルの統計神経力学

連想記憶モデルの特性を知るには、その記憶容量や想起過程を調べる必要があります。統計神経力学はこれらの特性を解析することができる理論です。しかし、統計神経力学は近似理論であるため、どのようなモデルに適用できるか?その限界を知る必要があります。また、理論を拡張しより多くのモデルに適用できるようにします。
経路積分法による連想記憶モデルの解析

連想記憶モデルでは想起過程の解析が困難でした。統計神経力学ではクロストークノイズがガウス分布に従うと仮定して、想起過程を解析します。そのため、自己想起モデルでは想起に失敗する場合に理論と計算機シミュレーションの結果が合わないことが知られています。一方、経路積分法は想起過程を厳密に求めるため、解析的に巨視的状態方程式を導出することが困難でした。

ところが、系列想起モデルの場合には、経路積分法で解析的に巨視的状態方程式を導出できることがわかりました。さらに、その結果は統計神経力学から得られた結果に一致していました。
連想記憶モデルにおけるカオス

非単調な素子(ニューロン)を用いた場合、系列想起モデルの巨視的状態方程式から系の振舞がカオスになっていることがわかりました。カオス現象の解析を行います。
連想記憶を用いた情報処理

連想機能を用いて言葉や概念の関係を連合させ、文脈を用いた情報処理への適用を目指します。

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