川村正樹,山名美智子 & 岡田 真人

日本物理学会 第58回秋季大会, Vol.58, Issue 2, Part 2, pp.218

相関のあるシナプス結合を持つ系列想起型連想記憶モデルのダイナミクス

リカレントネットワークである連想記憶モデルにおいて、プレニューロンに依存し た一様な共通入力を導入し、相関のある発火現象が見られることを理論的に検証す る。シナプス結合に共通入力がある場合、ニューロンへの入力が相関を持つので、 熱力学的極限においてもニューロン間の挙動は独立ではなく、ニューロンの発火に 相関を生じる。このような現象は、シンファイアチェーンと呼ばれる同期発火現象 に関係がある。

統計力学で議論されてきたニューラルネットワークを含む全ての可解モデルは、全 てこの熱力学的極限で素子の挙動が独立になる性質を用いて理論解析が行なわれて きた[1]。これまでに、階層型のネットワークにおいて、同期発火現象が起ること が理論的に示された。また、階層型連想記憶モデルにおいて、相関のある発火現象 が調べられている[2]。これらの場合、各層の共通入力の間に相関が無いことを用 いて理論解析がなされている。しかしながら、共通入力を持つリカレントネットワー クの場合、系の持つフィードバックの性質から理論的取り扱いが著しく難しくなる。 今回、我々はリカレントネットワークである系列想起型連想記憶モデルに対して、 巨視的変数の密度関数の漸化式を導出することに成功した。これは山名と岡田 [2]が求めた階層型モデルの漸化式に完全に一致する。

計算機シミュレーションより求められたオーバラップの時間発展を図1(左)に示す。 共通入力により、オーバラップが分布していることがわかる。また、図1(右)に時 刻$t=30$のときのオーバラップの度数分布と理論から得られた密度関数を示す。こ れより、両者はよく一致していることがわかる。

  1. Kawamura, Okada, J. Phys. A: Math. Gen., 35, 253-266, 2002.
  2. 山名美智子, 岡田真人, 日本物理学会2002年秋期大会, 57 Part 2, 7aTB-5; M. Yamana, M. Okada (in preparation)

M. Kawamura, M. Yamana, & M. Okada

Meeting Abstracts of the Physical Society of Japan, Vol. 58, Issue 2, Part 2, pp.218, 2003-09

Dynamics of sequential associative memory model with correlated couplings


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Last modified: Wed Jun 8 10:17:41 JST 2005