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川村正樹 & 岡田 真人

日本物理学会 第55回年会, Vol.55, Issue 2, Part 2, pp.219

系列想起型連想記憶モデルの経路積分法による過渡状態を含む厳密解と統計神経力学

D\"uringらは経路積分的な手法を用いて,系列想起型連想記憶モデルを議論した. この理論ではオーバラップ m(t)とクロストークノイズの時間相関 R(s,s'), 状態の時間相関 C(s,s'),帯磁率 G(s,s')のオーダパラメータで想起ダイナミ クスを記述する.ここで,R(s,s')は C(s,s')とG(s,s')に依存するため,一 般的に陽に解くことは困難である.彼らは鞍点方程式を導出し,定常状態の解析を 行ったが,過渡的な想起のダイナミクスを議論するまでには至らなかった.

連想記憶モデルを解析する場合には,記憶パターンが想起できるかどうかを議論す る必要があり,想起ダイナミクスの解析が必要不可欠である.我々は系列想起モデ ルに対して時間相関 R(s,s'),(s,s'<t)に関する漸化式,

R(s,s') = C(s,s')+G(s,s-1)G(s',s'-1)R(s-1,s'-1)

を導出することに成功した.この漸化式によって各時刻における巨視的状態方程式 を求めることができ,想起に失敗する場合を含む過渡的な想起過程全ての場合に適 用可能な厳密解を求めることができた. 驚くべきことにクロストークノイズをガウス近似した統計神経力学による巨視的状 態方程式は,系列想起モデルの場合にはこの厳密解と一致している.すなわち,系 列想起モデルでは非想起状態においてもクロストークノイズが厳密にガウス分布に 従っていることがわかる.これらの理論は非単調素子を用いた系列想起モデルにも 容易に拡張できる. 図1にβ=5の場合の転移点(α_c=0.246)前後の記憶率における計算機シ ミュレーションと理論の結果を示す.図からスピングラス相でも,理論はシミュレー ション結果を良く説明していることがわかる.


M. Kawamura & M. Okada

Meeting Abstracts of the Physical Society of Japan, Vol. 55, Issue 2, Part 2, pp.219, 2000-09

Exact solution of transient dynamics by path-integral method and statistical neurodynamics for sequence processing neural networks


kawamura@ic.sci.yamaguchi-u.ac.jp
Last modified: Thu Aug 9 16:01:56 JST 2001