ノートPCにLinuxを!

ノートPCでLinuxを使う場合には、ハードウェアの制約をちょっと気にする必要 があります。そんな中でPanasonicのLet's Noteシリーズは比較的簡単にLinuxを インストールして使うことができます。ここでは、その中でも CF-M2Rの設定方 法を紹介します。

注意

以下に書かれている内容は全くの無保証です。この設定は私が所有する Let's note上で行ったものであり、同じ型番の製品でも部品が異なるかも知れま せん。従って、この手順に従って設定されたとしても、同じように動作するかは わかりません。また、設定したことによって何らかの損害が生じても、私は一切 責任を負いません。全て御自身の責任において実行してください。


Let's Note M2Rの設定

カーネル

M2Rでは CD-RWが内蔵されているので、インストールは問題なくできます。 ここで説明する設定方法はインストール後の設定方法です。また、各設定は Vine Linux 2.1CR上で行ったものですが、他でも同様にできると思います。

Vine Linux 2.1のインストールに関してはこの本を参考にしましょう。

Vine Linux 2.1CRではカーネル2.2.17が採用されていました。このバージョ ンではUSBに一部対応しています。M2Rには外付けのFDD(フロッピーディスクドラ イブ)がありますが、このFDDを使うことができます。

使える機能と使えない機能

次の表に、インストール時にそのまま認識されて、使える機能は青色で、ちょっと設定をいじって使える機能は黄色で、現状ではうまく使えない、または試していな い機能は赤色で示します。

LANカード Intel Ethernet Pro 100 eepro100と自動認識
ビデオ NeoMagic 256AV 1024x768, 16bpp 自動認識
CD-R/RW MATSHITA UJDA310 ATAPI CD-ROM(hdc)として自動認識
- CD-R/RWにするには要設定
USBポート - usbmgrが対応しているものに限る
FDD USB(外付) USBの設定を行えば使用可
マウス USB BIOSでレガシーUSBを有効にすれば、そのままでPS/2マウスとして使える
サウンド NeoMagic 256AV 要設定
内蔵モデム PCTel カーネル2.2.14用のバイナリパッケージ有り
携帯電話用内蔵モデム - 不明
その他--

その他、接続したものの動作

無線LANカード Buffalo WLI-PCM-L11 内蔵のイーサと競合する

設定ファイル

以下の設定を全て行った後のファイル内容です。


■ サウンド

サウンドカードはNeoMagic 256AVで、ドライバも一応対応しているようですが、 そのままでは使えませんでした。/etc/conf.modulesは以下のようにし ます。

alias sound-slot-0 nm256
options nm256 force_load=1

上記を記述後に、modprobeコマンドでモジュールを組み込んでみて下さい。

     # modprobe nm256
     # lsmod
     ...
     nm256                  69664   0
     sound                  58328   0 [nm256]
     soundcore               2820   6 [sound]
     soundlow                 428   0 [sound]
     ...

モジュールが組み込めたら、sndconfigコマンドでサウンドの設定を行います。 音が出力されたら成功です。うまく組み込めず、諦める場合は /etc/conf.modulesの該当部分を削除しておいてください。そうしない と、再起動したときにうまく立ち上がりません

■ CD-R/RW

○ SCSIデバイスとして設定する

内蔵のCD-R/RWをCD-ROMとして使うのであれば、何の設定も要りません。しかし、 それではもったいないので、CD-R/RWとして使えるようにしましょう。この場合、 大抵 cdrecordなどのアプリケーションで書き込みを行います。cdrecordでは、 IDEのCD-R/RWを接続する場合はSCSIエミュレーションを使います。従って、内蔵の CD-R/RWをIDEではなくSCSIのCD-R/RWとして設定します。 /etc/conf.modulesは以下のようにします。

alias scsi_hostadapter ide-scsi 
alias block-major-11 ide-scsi

再起動して、CD-R/RWにアクセスすると、ドライバが読み込まれるはずです。

○ マウントの設定

こうすると、CD-R/RWはIDEのCD-ROM (/dev/hdc)としては認識されなくなりま すので、CD-ROMをマウントする時には注意が必要です。CD-R/RWはデバイス /dev/scd0として認識されるようです。これを/dev/cdromにリ ンクしておきます。また、既存の/dev/cdrom/dev/cdrom.orgとしておきます。

      # cd /dev
      # ls -l cdrom
      lrwxrwxrwx   1 root     root            3 Aug 25 20:34 cdrom -> hdc
      # mv cdrom cdrom.org
      # ln -s scd0 cdrom
      # ls -l cdr* scd0 hdc
        lrwxrwxrwx   1 root     root            3 Sep 10 00:33 cdrom -> scd0
        lrwxrwxrwx   1 root     root            3 Aug 25 20:34 cdrom.org -> hdc
        brw-------   1 root     disk      22,   0 May  5  1998 hdc
        brw-------   1 root     disk      11,   0 May  5  1998 scd0

/etc/fstabのcdromのエントリを次の様に修正しておくと、使える ようになるでしょう。

      /dev/scd0  /mnt/cdrom  iso9660  noauto,owner,ro,user  0 0

○ 確認

CD-ROMをマウントするにはこれまでと同様に

      $ mount /mnt/cdrom
でできるはずです。

ここまでの設定ができたら、CD-R/RWがSCSIのデバイスとして認識されている か、確認してみましょう。テストも兼ねて再起動します。うまく設定できれば、 以下のコマンドでCD-R/RWのトレーが飛び出します。

      $ eject /mnt/cdrom
または
      $ eject /dev/scd0

cdrecordがインストールされている場合、以下のようにするとデバイスが認 識されているかわかります。

      $ cdrecord -scanbus
      Cdrecord 1.9 (i686-pc-linux-gnu) Copyright (C) 1995-2000 Jrg Schilling
      Linux sg driver version: 2.1.39
      Using libscg version 'schily-0.1'
      scsibus0:
                  0) 'MATSHITA' 'UJDA310         ' '3.53' Removable CD-ROM
                  1) *
                  2) *
                  3) *
                  4) *
                  5) *
                  6) *
                  7) *

CD-R/RWに書き込むには次ぎのようにします。

        $ cdrecord -v -dummy speed=4 dev=0,0 [-audio] file.iso
        $ cdrecord -v -eject speed=4 dev=0,0 [-audio] file.iso
        
xcdroastではSetupのところで以下のようにします。
        CD-Writer-Mode : Autodetect
        CD-Writer Speed : 4x
        Audio-Read-Mode : ATAPI
        Audio-Read Speed : 6x

■ USB

○ USB全般の設定

カーネルを2.2.17ではUSBポートを使用することができます。USB関連のドラ イバはUSBマネージャ usbmgrで管理されます。usbmgrはポートに機器を挿すと、 自動的に必要なモジュールを組み込んでくれます。また、機器を外すと自動的に 不要なモジュールを除いてくれます。

○ USB FDDの設定

・usbmgrの設定

[注]. 新しいバージョンでは、usbmgrの設定を行わなくても良い場合があります。 次の/etc/fstabの設定からやってみてください。

USB FDDの情報を/etc/usbmgr/usbmgr.confに登録しておきます。 USB FDDを接続する前に、dump_usbdevコマンドを実行します。

      # dump_usbdev 
      class 0x9 subclass 0x0 protocol 0x0 module <module_name>

USB FDDを接続します。再度dump_usbdevコマンドで情報を取得します。

      # dump_usbdev 
      class 0x9 subclass 0x0 protocol 0x0 module  <module_name>
      vendor 0x644 product 0x0 module  <module_name>
追加された最後のエントリーがUSB FDDの情報です。これを /etc/usbmgr/usbmgr.confに追加しますが、最後の<module_name>は scsi_mod, sd, usb-storageに置き換えます。従って、以下を加えてます。
# Panasonic CF-VFDU03
vendor 0x644 product 0x0 module scsi_mod , sd , usb-storage
修正後、update_usbdbコマンドで情報をusbmgrに反映させれば、USB FDDを抜 き差ししても使えるはずです。
     # update_usbdb /etc/usbmgr/usbmgr.conf

認識されると以下に情報が書かれますので、確認してください。 表示内容はCD-R/RWの有無で異なります(以下はCD-R/RWを装着時)。

   $ cat /proc/scsi/scsi 
   Attached devices: 
   Host: scsi0 Channel: 00 Id: 00 Lun: 00
     Vendor: MATSHITA Model: UJDA310          Rev: 3.50
       Type:   CD-ROM                           ANSI SCSI revision: 02
   Host: scsi1 Channel: 00 Id: 00 Lun: 00
     Vendor: MATSHITA Model: FDD CF-VFDU03    Rev: 1026
       Type:   Direct-Access                    ANSI SCSI revision: 02

$ cat /proc/scsi/usb/1 (または /proc/scsi/usb/0)
)
      Host scsi1: usb-storage
          Vendor: MATSHITA
         Product: CF-VFDU03       
   Serial Number: None
        Protocol: Uniform Floppy Interface (UFI)
       Transport: Control/Bulk/Interrupt
            GUID: 064400000000000000000000

この時点でUSB FDDは /dev/sdaと認識されます。 もし、認識されない場合は手動で、モジュールはmodprobeで組み込むことができ ます。テストとして以下を実行してみてください。

      # modprobe usbcore
      # modprobe usb-uhci
      # modprobe usb-storage

・フロッピーディスクのマウント

FDをマウントするときは、/etc/fstabのfloppyの所を次のように 修正しておきます。ファイルシステムの指定をautoにしているので、ext2フォー マットでもMS-DOSフォーマットでも自動認識します。

      #/dev/fd0            /mnt/floppy          auto    noauto,owner   0 0
      /dev/sda             /mnt/floppy          auto    noauto,user    0 0
このときは、
      # mount /mnt/floppy
でマウントすることができます。

・MS-DOS形式のフロッピー

mtoolsを用いてMS-DOS形式のFDを使うときは、 /etc/mtools.confのa:の所を次のように修正しておきます。

      #drive a: file="/dev/fd0" exclusive 1.44m mformat_only
      drive a: file="/dev/sda" exclusive 1.44m mformat_only

○ USBマウスの設定

・usbmgrの設定

USBマウスの情報を/etc/usbmgr/usbmgr.confに登録しておきます。 USBマウスを接続する前に、dump_usbdevコマンドを実行します。

      # dump_usbdev 
      class 0x9 subclass 0x0 protocol 0x0 module <module_name>
      vendor 0x644 product 0x0 module  <module_name>
USBマウスを接続し、再度dump_usbdevコマンドで情報を取得します。
      # dump_usbdev 
      class 0x9 subclass 0x0 protocol 0x0 module  <module_name>
      vendor 0x644 product 0x0 module  <module_name>
      vendor 0x627 product 0x2 module  <module_name>
追加された最後のエントリーがUSBマウスの情報です。数値はマウスのメーカに よって異なります。これを/etc/usbmgr/usbmgr.confに追加しますが、最後の <module_name>はhid, mousedevに置き換えます。従って、以下を加えてます。
# USB Mouse
vendor 0x627 product 0x2 module hid, mousedev
修正後、update_usbdbコマンドで情報をusbmgrに反映させれば、USBマウスを抜 き差ししても使えるはずです。
     # update_usbdb /etc/usbmgr/usbmgr.conf

■ 無線LANカード

○ 環境

使用した無線LANカードはメルコ(BUFFALO)のWLI-PCM-L11というカードです。 同社のAir Station WLA-L11に接続しました。Air Stationの設定は付属の CD-ROMでWindows側から行いました。

○ PCMCIAの設定

設定ファイル/etc/pcmcia/config.optsをちょっと書き換える必要があります。 以下の設定を加えて下さい。

     module "wvlan_cs" opts "channel=14"
こうすると14チャネルの設定ができるのでしょう、カードを刺すとうまく認識し てくれます。

○ ネットワークの設定

次にネットワークの設定です。無線LANカードはデバイスwvlan0となります。 設定ファイル /etc/sysconfig/network-scripts/ifcfg-wvlan0を作成します。 ifcfg-eth0のものをコピーして作ればよいでしょう。

     # cd /etc/sysconfig/network-scripts/
     # cp ifcfg-eth0 ifcfg-wvlan0
ifcfg-wvlan0を書き換えて、以下のようにします。IPアドレスなどはご自身の環 境に合わせて設定してください。
     DEVICE=wvlan0
     BOOTPROTO=none
     IPADDR=192.168.0.4
     NETMASK=255.255.255.0
     NETWORK=192.168.0.0
     ONBOOT=no

ここまで設定できたらカードを刺すと、デバイスwvlan0が作成されるはずで す。

     # /sbin/ifconfig -a
eth0      リンク方法:イーサーネット  ハードウェアアドレス 00:X:X:X:X:X 
          inetアドレス:192.168.0.4 ブロードキャスト:192.168.0.255 マスク:255.255.255.0
          BROADCAST MULTICAST  MTU:1500  Metric:1
          RXパケット:0 エラー:0 損失:0 オーバラン:0 フレーム:0
          TXパケット:0 エラー:0 損失:0 オーバラン:0 キャリア:0
          衝突(Collisions):0 TXキュー長:100 
          割り込み:9 ベースアドレス:0xd000 

wvlan0    リンク方法:イーサーネット  ハードウェアアドレス 00:X:X:X:X:X 
          inetアドレス:192.168.0.4 ブロードキャスト:192.168.0.255 マスク:255.255.255.0
          UP BROADCAST RUNNING MULTICAST  MTU:1500  Metric:1
          RXパケット:241 エラー:0 損失:0 オーバラン:0 フレーム:0
          TXパケット:192 エラー:0 損失:0 オーバラン:0 キャリア:0
          衝突(Collisions):0 TXキュー長:100 
          割り込み:3 ベースアドレス:0x100 
※ eth0とwvlan0以外は省略

このままでは、まだ外部に接続できません。ルーティングを変更する必要が あります。デフォルトルートは eth0になっているはずなので、これを変更しま す。ここでは、eth0は使用しないので、downにしておきます。

     # /sbin/ifconfig eth0 down
     # /sbin/route add default gw 192.168.0.1
ゲートウェイアドレス(192.168.0.1)は環境に合わせて設定して下さい。 これで外部にアクセスできるはずです。上記の2行はシェルスクリプトにしてお くと便利ですね。

シェルスクリプトに関してはこの本 を参考にしましょう。


Masaki Kawamura
Last modified: Tue Apr 24 17:18:32 JST 2001